2011年5月30日月曜日

“遠き光り”

バルト三国のうちの一つ、ラトビアが生んだ、ペーテリウス・ヴァスクス、という作曲家がいるんだが、彼の、“遠き光り”という曲がこのところ折りに触れて胸の内に鳴っている。(‥というか、ふとした拍子に聞こえてくると云うべきか?)


3.11以降、4月半ばまでは、サミュエル・バーバーの“弦楽の為のアダージョ”(余談だが、アメリカの大統領が亡くなるとテレビの追悼番組で延々とこの曲が流れて、というか使われて、それにたいしてバーバーさんは、「別に葬式の為に書いた曲じゃない!」と気分を害していた由)と、ラフマニノフの“ヴォーカリーズ”(原曲はもちろん素晴らしいのだけれど、ヨーヨー・マとボビー・マクファーリンのデュオ・ヴァージョンも捨て難い)の2曲が、それこそずいぶんな音量で鳴り響いていた訳で、それを思えば、僕の精神状態はより良い方向へと向かっているような気がしないでもない。

(ここで“遠き光り”についての講釈を延々と垂れたくなるのをぐっとこらえてできるだけ手短に云わせてもらうと、現代音楽入門にもぴったりの、そ・れ・な・り・に、馴染み易い曲で、歴史的状況によって虐げられた民族の自由への渇望が創作の根底にあるに違いないことから、何等かの事情で抑圧されたネガティブな感情を開放することに寄与しうるのではないか?・・・とあんまり手短じゃなかったかしらん?)


それにしても、前回久々の更新だったにもかかわらず早速に温かいコメントを寄せてくれたお三方、深く感謝する次第であります。

(昔からひとつ一つのコメントそれぞれにお返事したいと思いながらもそれが出来ないままにきてしまったものの、しっかりと受け止め噛み締め明日への糧にしておりますので‥)



さて、世界一小さなライブハウス、高田馬場ホットハウス‥ このお店は皆さん(閉所恐怖症の方を除き)一度は足を運ぶべきスペース。


ライブが始まる前から大きな?テーブル(因みに店内にテーブルは一つ‥)に次々と並んでいく料理は、全てオーナーのアキさんの手作り。

感覚的には、“料理ずきな叔母さんち”を久しぶりに訪ねたら、えらく歓待されて‥
そんな感じであって、先日も、大路さんと吹谷くんが帰ったあともダイソン和泉(吸引力が衰えない唯一のピアニスト‥ってスクエア時代につけられたあだ名)は4時まで盛り上がってしまったのだった。
ごちそうさまでした!



その後、先週火曜日にピラミッドのリハーサル(for7/3@中野ゼロホール=宮地楽器さんの創業95周年記念)があって、昨日は菰口雄矢くんが率いる“Voice Pics”とのリハーサル。

そもそもヴァイタル・インフォメーションというグループが福島原発事件で来日延期となって、前座を勤めるはずであった“Voice Pics”が穴が空いてしまったスイート・ベイジルにおいてライブをやらざるを得なくなって、まぁ、ゲストというか助っ人というか‥
そんな感じでしょうか‥

それにしても前回も書いた通り、若手No.1バンドの彼等と音楽することは、いやでも元気になってしまうというか、しいすばらなことなんだが、それに加えて本田雅人くんが登場する、のみならず、折りから来日中のギタリスト、アレン・ハインズ氏も参加するとのことで、なにやら面白そうな夜になりそうな予感がひしひしと‥ 5月28日Allen Hinds with Voice Pics公演リハの模様

てな訳で、6/11はスイート・ベイジルに集合されたし!!


そう、前日の10日はソフト・ウィンドでソロですので、そちらもよろしく!!!

2011年5月20日金曜日

“いつまでも沈んでいる訳にはいかない‥”

理想は‥―漂えど沈まず―


思えば、前回のエントリーは元旦‥

ものごころついてからこの方およそ半世紀のうちで、最もヘヴィー&ダークな気分の正月だったものの、新年そうそう愚痴をこぼすわけにもいかずに明るく振る舞ってはみたものの‥


やっぱりその後も、地球深部探査船「ちきゅう」が日本近海のそこいらじゅうにボコボコと掘っているらしい穴に負けないくらいの深みへとズンズン沈んでいった訳なんだが、そもそも、ライブをたくさんやっても(12月はまじで勝負に出てみたつもりだったんだけれど‥)お客さんがちい~とも来てくれない(そんな中でも足を運んでくれた皆さんには足を向けて眠れないm(__)m‥)、というところが始まりで、どうせ俺は、ヘタクソなデブで白髪のじじいだよ!と、いじけつつ居直りながらも、やはり実力不足!と思い直して正月返上で一から出直すつもりで‥


で、なんとか前向きに頑張ろうとしていた矢先に、秋田県は能代の、加藤成二さん(須藤満くんの大学の先輩の小学校の教頭先生にしてベーシスト‥)が亡くなって、お葬式に行きたくてもピラミッドのレコーディングでどうしようもない時期で‥

成二さんのことはとてもここでは書ききれないので後日きちんと書かなければならないが、ひとことでいうなら、いわゆる芸術鑑賞教室によんでもらって、たくさんの子供達(ここ数年で能代市を中心に千数百人‥)の前でピアノを弾く機会を作ってくれた、恩人ともいうべき存在‥であると同時に、私にとって数少ない、堅気のマブダチの一人であった。

ご冥福を祈りたい。



そんな訳で、沈んだ心持ちで西新井のカフェ・クレールでのソロ・ライブを(雰囲気のよいお店とあたたかいお客さんに助けらて)なんとかこなし、ブルース・アレイでのトリオ(プラスほぼ飛び入り拉致?ゲストの向谷さん!)でのライブもなんとかかんとか乗りきって?(興業的には、まったく成り立ってなかったんだけれども‥)


そんなこんなで2月は半ばすぎまで引きこもって(ニートジジイ?して)いたものの、そんなことではいかんと3月12日の鎌倉芸術館(吹奏楽団の演奏会にゲストで呼ばれて、ピアノソロで30分もらっていた‥)に向けてお稽古を始めたのが下旬‥

‥そう、すんごく頑張ったんだす。
そもそも吹奏楽のフィールドにおいては、宝島とオーメンズ・オブ・ラブの作曲者の和泉、としてしか知られていない訳であって、オリジナルにはこんな曲もあんな曲もあって、或は、ぐっとくる(自分で云うのもなんだけれども‥)さまざまなカヴァー(古今東西の珠玉のポップスとか、滝廉太郎先生の荒城の月を始めとする唱歌とか‥)もあって‥

まぁ、よーするに、12月の赤字を埋めんが為のCD即売ウハウハ大作戦を目論んだ結果の、いつにない猛練習だった訳で、3月10日の夜に通して弾いてみた手応えでは、少なくとも10人に1人は買ってくれる(つまりは150枚?)に違いない!という確信に満ちた皮算用たぬきオヤジ(恵比寿顔福耳嘘オヤジとは無関係‥)だったのだが‥


翌日の14時46分、築36年とはいえ頑丈なだけが取り柄という鉄筋2.5階建ての実家の音楽室で読書に勤しんでおった私は、スタンドからゴロゴロゴロンと転げ落ちてきたJBLの4311を咄嗟によけた以外には全く身の危険を感じなかった訳で、本とCDはそれなりに散乱したものの、それ以前から散らかっていた部屋の状態を隠蔽してくれたと言えなくもなかったし、少なくとも直ちに健康に被害を及ぼす恐れはなかった。


‥がしかし、またもや深~い穴の奥に沈み込んでしまい‥


もちろん、亡くなられた方々や、肉親を亡くされた方々、或は住むべき家を失って未だに避難所で暮らすことを余儀なくされている皆さんのことを思えば、とりあえず生きていて家があるというだけで感謝すべきことなのは間違いないのだが‥


それにしても、いたたまれないのみならず、あまりにも理不尽なことや腹立たしい事象?や出来事が日々起きて、或は起こされて、それらが隠蔽され、揚句の果てに露呈し暴露されつつも圧力?で訂正?され、勘違い?だったことにさせられたり、もうとにかく茶番の百万連発!!!


3.11以降、直接的には6本のステージがキャンセルになったことによって音楽する気力を失ったことをきっかけに深海に沈み、毎日何をしていたのかと言えば色々と勉強していた訳で、その結果確信したことは、かつて学校で習った18世紀以降の歴史の少なくとも半分は嘘だったということと、現在の様々なカオスには、間違いなくそれはそれは巧妙に隠された意図と原因があるということであって‥


いっそのことネット・ジャーナリストに転身して言いたいことを発信できるものなら、たとえ殺されるようなこと(差し当たっては痴漢で冤罪?)になったとしても、どんなに晴々とした気分でいられるのだろうかと憧れつつも、やはり今生の本懐が音楽にあることは言うまでもなく‥


結局、音楽家であることを諦めない限りはそれを大声で叫ぶ訳にもいかず、今は数少ない勇気ある人々とネットの力による人々の覚醒を信じてピアノに向かおうと思い至って、一ヶ月以上潜航していた泥沼からようやく浮かび上がったのが4月も半ばを過ぎてから‥



それからこれまでにあった全く毛色の違う三本のステージは、いずれも現在の自分にとって核となる象徴的なものであって、本番とリハーサルが交錯して脳みそが再臨界しつつも、リハビリ(肉体的にも精神的にも‥)としては申し分ないものとなった次第。



まず、4/27のスイートベイジルでは、菰口雄矢くんが率いる“VOICE PICS”(みんな?若いけど、しいすばらばらすいしなバンド!)とスペシャル・ゲストの小沼ようすけくん(なんというか、魂からほとばしる音を感じさせてくれる味わい深いギター‥)に助けられ、スクエア時代から今に至るオリジナルの世界がぐんと拡がって‥





5/7の横浜ドルフィー(それにしても本当に音の良いお店です!)ではピアノ・トリオの醍醐味を満喫し‥(もちろん、石川さんとコモちゃんがもの凄く上手だからだけれど‥)




5/11のビルボード東京でのピラミッドのニュー・アルバム、“PYRAMID3”発売記念ライブ‥


ピラミッドに関しては、いわゆる究極のオヤジバンドであって、よーするに、一緒にやっててすんごく楽しい!という気持ちが30数年続いている訳であって‥

欲を言えばもっとたくさんの人に聴いて欲しいということになるけれども‥

諸般の事情で急遽参戦してもらうことになった本田雅人くん!ありがとう。やっぱ、まあくん、いつ聴いても上手だね~

そして今やなくてはならないピラミッドの準構成員、鳥越啓介くん、そして拡大ピラミッドともいうべきマルチプレイヤー、鈴木雄大くん、今後とも何とぞよろしくであります。



さてさて、明日は世界一小さなライブハウス、高田馬場ホットハウスで宮本大路さんと‥
デュオ?の予定だったんだが、吹谷禎一郎くんを拉致?しようかと‥ まだ大路さんには内緒‥
ウヒヒ‥

もしよかったら‥
入れるかどうかわかりませんけど‥ m(__)m